Japanese
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綜説
Brisket Disease—高地における牛の右心不全
Brisket Discase
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Department of Medicine, School of Medicine, Keio Universlty
pp.532-540
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201609
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I.高地における生体の機能
高地における異常な低圧,低酸素環境では低地に較べて生体の生理学的,生化学的機能あるいは構造に何らかの形で変化がみとめられる。19世紀の終りJourdanet(1875)により最初の記述がなされてはいるが,その後この方画の研究の歩みは遅く,系統的な研究はMongeら(1928)によってはじめられたという。
Rottaら(1956)はアンデスの高地原住民に肺高血圧がみられることを報告,このことはPeñazolaら(1963),Vogelら(1962)によって確認されている。この場合肺血管抵抗および右室仕事量の増大を呈するが,wedge圧,心拍出量,左室仕事量は変化しないという。成人に比して,1ないし14歳,とくに5歳以下の子供に著しいが,低地から移住した健康成人でも高地(モロコチャ,4540m)に1年以上住むと肺高血圧をきたすことがあるという。病理学的にはArias-StellaおよびSal—danã(1962)によれば胎児の肺血管系に似た肺小動脈の筋層の肥厚と肺動脈のmuscularizationがみとめられるという。Mollgeら(1928)によって記載された慢性高山病chronic mountain sickness, Monge's dise—aseでは,健常原住民にみとめられる以上に著しい右心肥大がおこることが知られている。
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