地球の子どもたち・9
牛を放牧する
長倉 洋海
pp.950
発行日 1991年11月25日
Published Date 1991/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900442
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ヒンズークシ山脈。標高三千メートルの山あいに、牧畜民のテントが見え、小さな女の子がいた。夕方の風は肌を刺すように冷たい。彼女のホッペは真っ赤、手もあか切れている。鼻水をすすりながら、少し、離れて遠慮がちにこっちを見ている。
彼女の仕事はお兄ちゃんと二人で、放牧の牛や羊の番をすること。つぎあてを当てたダボダボのゴム長靴をはいて、群れと共に移動する。群れから離れた牛や羊に小石を投げつけて、群れに戻す表情は真剣そのもの。大人顔負けだ。
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