Japanese
English
ジュニアコース
肺胞気
Alveolar Air
石川 皓
1
Koh Ishikawa
1
1東北大学医学部中村内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Tohoku University.
pp.57-61
発行日 1966年1月15日
Published Date 1966/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201542
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
吸気に際し吸入されたガスは,既に気管,気管支,さらにその末梢気道に存在しているガスと混合して,この一部は,吸気により拡張しつつある肺胞中に入り,静脈血を含む肺毛細管と接触するわけである。この肺胞中に含まれる混合ガスを一般に肺胞気(alveolar air)と理解され,この分析は,ガス交換の定量,呼吸商,end capillaryにおけるガス分圧の測定,肺胞—動脈血間ガス分圧較差,換気/血流比の測定等,肺生理の上では最も重要な問題の一つとされ,呼吸死腔量の測定と共に,古くから討議されてきたものである。
肺胞気組成は肺換気過程に応じて,あるいは,脈管搏動によって,時間的に絶えず変化するもので(time factor)1),1個の肺胞中でもO2 CO2は吸気時には,大気中の組成に近づき,呼気に際しては,動脈血中の組成にほぼ等しくなる2)3)。また空間的にも全肺胞がすべて同じ組成を示すことは,健康者においも考えられない。即ち,肺の各部で換気,血流分布関係は均一なものでなく,したがって,その中に含まれるガスの組成は,当然部位によって異ってよいはずであり,即ちspace factorが存在する4)5)。このように,肺胞気は時間的にも空間的にも均一なものでないため,肺胞気の組成を単一なものとして取り出すことには問題点を含むことに注意する必要がある。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.