Japanese
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講座
無気肺発生のメカニズム
Physiological Significance on Atelectasis.
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Dept. of Medicine, School of Medicime, Keio University.
pp.865-868
発行日 1965年11月15日
Published Date 1965/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201514
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はじめに
われわれ臨床家にとって,無気肺というとまず頭に浮ぶのが胸部X線フィルムで白くうつるものであり,次に"この原因疾患は?"という段取りになる。無気肺の発生のメカニズムについて近年肺胞内の界面活性物質sur—factantの研究と関連して大変興味深い研究がつぎつぎにあらわれている。たとえば胎児期の胎盤を経てのガス交換が肺でのガス交換に移行する新生児期における肺胞の構造と機能の問題のように,今までのいわゆる臨床家にとっては従来の無気肺というもののイメージと若干ズレのあるような話題にも関心が寄せられるようになってきている。
一方,この無気肺発生のメカニズムがガス交換とガス環境という面から大きな問題を投げかけている。もっともこれは新らしい問題というのではなく,飛行機乗りの間では,以前から経験されていたところであったが,Ernstingにより,new post flight syndromeとして報告された。その内容は原著をあたっていただくとして,同様の問題は,今日,宇宙飛行士たちに実に深刻な危険をもたらしている。このことは後に述べたい。さて,このような時代の寵児たちの悩みの種は,われわれ臨床医が患者の診療にあたる場合にも存在しているので,この臨床的な問題点を考えようというのが本稿の目的である。
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