Japanese
English
綜説
運動と臨床(3)
The Clinical Aspect of Muscular Exercise (3)
岡村 輝彦
1
Teruhiko Okamura
1
1浦和市立療養所
1Urawa Municipal Sanatorium.
pp.672-676
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201487
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VIII.循環器(その1)
ここでは肺胞毛細管内にはいった酸素が体組織,特に筋肉まで運ばれる過程について述べる。この過程には筋運動に必要なエネルギー源の運搬もふくまれる。酸素消費量Vo2が3,000cc/minの激しい運動に際しては,
Vo2=Qt(CaO2-CvO2)
であるから,動静脈血酸素較差CaO2-CvO2を12vol%とすると,心拍出量Qtは25l/minとなる。循環血液量が5lならば1分間に5回も心臓を血液が通過することとなり,これには心臓はもとより循環系全体の十分な活動と協調が必要である。Mitchell13)によるとこの程度の運動においては心拍出量が安静時の約4倍,動静脈血酸素較差が約2倍となって,酸素消費量を約9倍にまで増加させている。心拍出量は単位時間に酸素を運ぶ血流の量の問題であり,動静脈血酸素較差はこの血流の単位量から組織へ酸素を摂取する割合rate of O2 extractionの問題である。さらに5lという限られた循環血液量であるから,これを酸素やエネルギー源を必要とする組織に集中するための血流の配分という問題もある。
そこではじめに運動時における左心および右心(後者は肺循環をふくむ)の拍出機能を述べ,次に心に還流する血流の問題,換言すれば血流の直列方向の分布に関して論ずる。さらに血流の併列方向の分布すなわち臓器間の血流の配分に言及する。
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