Japanese
English
講座
運動の発達(3)―微細運動発達
Development of Human Motor Behavior. Part 3: Fine Motor Development.
上田 礼子
1
,
上田 敏
2
Reiko Ueda
1
,
Satoshi Ueda
2
1東京大学医学部保健学科
2東京大学病院リハビリテーション部
1School of Health Science, Faculty of Medicine, University of Tokyo.
2Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
キーワード:
fine motor development
,
individual difference
Keyword:
fine motor development
,
individual difference
pp.917-923
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104427
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はじめに
すでに講座(1)において運動発達の基礎理論を概観して考察した.講座(2)においては粗大運動発達を中心に,筆者らの資料を基にしながら日本の乳幼児の粗大運動発達の標準と地域的特徴,および,それらに関与すると推定される気候因子・都会性因子について述べた.
今回は微細運動に焦点をあて,粗大運動発達の場合と同じような視点から述べることにする.すなわち,人間の微細運動発達を個体全体の発達から切り離してとらえるのではなく,出生直後から環境との相互作用を続けながら質的に変化していく人間の行動の一側面としてとらえていくこととする.
改めて述べるまでもなく,比較行動学の立場からみると人間は二足歩行をとり,手が移動運動から解放されて他の動物とは比較にならないほど上肢,手は種々の機能をはたすようになっている.自分自身あるいは他者・対象物を探索し,精神活動を刺激し,それを支えるのに大きな役割をはたしていることもみのがせない.しかし,ここでは精神活動との直接的関係について論じることは省略し,微細運動の発達と推移,年齢基準と個人差,地域差について述べることにする.
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