Japanese
English
診療指針
慢性気管支炎
Chronic Bronchitis.
宝来 善次
1
,
植嶋 亨介
1
Zenji Horai
1
,
Michisuke Ueshima
1
1奈良医科大学第2内科
1Internal Medicine, Nara Medical College.
pp.413-421
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201326
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I.緒言
イギリスにおいては古くから慢性気管支炎による死亡率が諸外国に比べて高率であるので,その研究はかなり広い範囲に行なわれ,多数の研究業績が公表されている。近年,近代工業の発展に伴う大気汚染に関連し,また平均寿命の延長による老年者にみられる肺気腫,肺線維症に関連して慢性気管支炎の発生頻度がイギリス以外の国でも増加の傾向があり,新しい観点から本症が国際的にも検討されつつある。従来,わが国では慢性気管支炎の研究はあまり行なわれていなかつた。したがつて,その概念についてまちまちであり,病態生理も十分に解明されていなかつた。数年前から長沢1),中村2),三上3),その他の研究者によつてその概念,病理,臨床などの面が次第に明らかにされてきた。昭利38年11月の大阪市における第3回日本胸部疾患学会では慢性気管支炎に関する演題が多数提出されて大いに論議された。しかし,その定義などに関しては統一見解に達するまでには到つていない。また慢性気管支炎という課題の論文がそれぞれの研究者により公表されておりその研究者の研究内容,概念,定義に関する見解などをうかがい知ることができる。ここに筆者もまた,慢性気管支炎に関する先学者ののべた定義および発生原因などをふりかえり,筆者の観察した成績を加えて診療指針として臨床検査所見および治療,予防に関して概略を解説しよう。
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