文献抄録
マクログロブリン血症と骨髄腫における血行力学的障害
若林 保司
pp.711
発行日 1969年6月10日
Published Date 1969/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202704
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Amer. Heart J. の最近の論説は,マクログロブリン血症に併発し,時折骨髄腫にも併発する血液の粘稠度の増強がしばしば見のがされていることについて注意を喚起している.Arch. Intern. Med. の本年号で,Koppらはもう1つの血行力学的な合併症―すなわち血液の増量とそれにひきつづいておこる稀釈性貧血―を強調している.この2つの合併症は,診断治療上重要な意味がある.
Reismannが37年まえ,JAMA誌上に,骨髄腫で血液の粘稠度の亢進があることをはじめて報告し,ひきつづき,このことは骨髄腫で時折みられる所見であることが,他の観察者によって確認された.その後この所見は骨髄腫よりもマクログロブリン血症に,より一貫してあらわれることがわかった.多数の観察者は,血液の過粘稠度にもっぱら帰因するある症候群を記述している.その症候群は,粘膜の出血,網膜の出血,頭痛,めまい,眼振,運動失調,難聴,知覚異常,歩行障害と時折,うっ血性心不全を併う心臓障害が特徴である.Faheyらの記載したマクログロブリン血症の患者35人中18人では,これらの症状が単独かあるいは種々組み合わさってあらわれた,が,骨髄腫の患者ではごくまれにしかあらわれなかった.
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