Japanese
English
方法と装置
血液凝固能の計り方
Measurement of Blood Coagulation Activity.
山中 学
1
Manabu Yamanaka
1
1徳島大学医学部附属病院中央臨床検査部
1Dept. of Central Laboratory, Tokushima University Hospital, School of Medicine, Tokushima University.
pp.587-599
発行日 1963年8月15日
Published Date 1963/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201236
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I.はじめに
血夜凝固能の測定法として,過去長期にわたつて用いられて来たのは,時計皿の上へ,静脈から採取した血液をたらし,その血液を一定時間毎に針ですくつて,フィブリン様線維が最初に針にひつかかつた時を,凝固開始とし,さらに時計皿を傾け,次第に血液の流動性が失われて,ついには逆さにしても血液が流れなくなつた時を凝固の完了として,その時間を測定するSahli-Fonio血液凝固時間測定法である。現在では,殆ど試験管内で血液の凝固する迄の時間を測定するLee-White法にかわりつつあるが,いずれにせよ,血液が血管外に於いて,自然に近い状態で凝固する過程を,全体としての流動性の喪失をもつて終末点としている。従来より出血性素因を主訴とする疾患として血友病を第一に挙げるが,その診断のきめ手となる唯一の検査法が,この血液凝固時間測定であり,その著しい延長が特長とされていた。
ところが,血小板や血管系に異常なく,全血凝固時間も正常と思われるのに,出血傾向を示す場合がある。たとえば低プロトロンビン血症あるいは先天性第VII因子欠乏症などである。これらは大体において,上述の全血凝固時間に変化を認めない。
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