Japanese
English
綜説
肝循環
Hepatic Circulation.
上田 英雄
1
,
山田 英夫
1
,
亀田 治男
1
,
太田 明生
1
Hideo Ueda
1
1東京大学医学部内科学教室
1Dept. of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo.
pp.484-497
発行日 1963年7月15日
Published Date 1963/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201225
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I.はじめに
生体の代謝面において最も重要な位置を占める肝臓は,循環面においても極めて特徴を有すろ臓器である。
肝臓を中心とする肝・門脈循環系の諸問題は占くから病理学者・生理学者・臨床家の興味を集めて来たが,Bradleyの肝静脈カテーテル法による肝血流量測定法の確立2)以来,臨床的に肝血流量の測定が可能となり,造影剤注入による肝・門脈系のX線造影術2〜4)の進歩と相まって多くの知見が得られた。また古くMcIndoe5)により形態学的に用いられたPortal hypertension なる話は,Rousselotにより臨床的にも実証・導入され6),さらにWhippleらにより門脈大静脈間吻合術が発表された7)。そして今日では肝循環の計測は肝の病態生理の解明を目的とすると同時に,臨床的にも必要欠くべからざるものとなっている。一方Elias8),Popper9),Rappaport10)らによる肝血管系の形態学的研究の業績,最近の三宅11)12)による広範な検索などにより肝血管系の特色,病態時の変化が明らかとなつて来た。とはいえ,臨床的にも,病理学的にもこの分野においては未だ幾多の未解決の問題が残されており,なお今後の検討がのぞまれる。
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