Japanese
English
綜説
肝臟と門脈の循環
Hepatic and portal circulation
上田 英雄
1
1慈惠醫大
pp.261-270
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200118
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まえがき
門脈系は腹部内臓壁から肝臓の間に挾まる特殊血管系であり,人體の門脈の生理及び病態生理は手術時の限られた所見を根據とするに過ぎない。又肝臓の循環系は輸入血管に門脈と肝動脈があり輸出血管に肝靜脈があり,その間を結ぶ洞樣血管(Sinusoid)や短絡路の存在はその形態及び機能を複雑としている。肝細胞は血管壁のない血液の湖のような洞樣血管の中に浮ぶ島であり肝機能は肝循環を離れては存在しない。又肝動脈及び門脈から入つた體液がすべつて肝靜脈から出ると考えるのも獨斷であり肝門部に出入するリンパ管系が肝の體液出納にある程度の關係のあることがアルブミンやPhosphatidの代謝からも推定される。
しかし靜脈カテーテルによる研究が進歩してから門脈及び肝臓血流量・門脈及び洞樣血管内壓・門脈及び肝動脈循環時間・門脈血管抵抗等を測定し得るようになり肝及門脈循環の諸相が明かになつてきた。私は教室の肝臓乃至腹部内臓血流量・肝動脈血流量と門脈血流量の分離・腹部内臓血量・閉塞肝細靜脈壓曲線の特性・門脈高壓症の2型・門脈循環時間・門脈血管抵抗等についての研究成績を中心として概説しよう。
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