Japanese
English
綜説
調節呼吸の実際
The Practice of Controlled Respiration
神山 守人
1
,
池田 和之
1
Mondo Kamiyama
1
,
Kazuyuki Ikeda
1
1東京大学医学部麻酔学教室
1Dept. of Anesthesiology, Fuculty of Medicine, University of Tokyo.
pp.522-532
発行日 1962年8月15日
Published Date 1962/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201117
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最近の麻酔の傾向はbalanced anesthesiaと云われるものである。これはいくつかの麻酔剤を使いあわせることによつてそれぞれの欠点を補いつゝ,より安全な麻酔を行うと云うものである。その中で重要な位置を占めるのが筋弛緩剤であるが筋弛緩剤の併用によつて浅い麻酔でも十分の筋弛緩が得られるから手術操作は極めて容易になり患者の安全性もまして来た。しかし筋弛緩剤を使用することによつて患者の自発呼吸は停止するので,麻酔医が代つて患者の呼吸を任意に調節してやることが必要になつた。また,ほとんどの全身麻酔剤は呼吸を抑制するから,麻酔中の患者の呼吸を適正に維持するために補助呼吸を行つたり,あるいはさらに積極的に呼吸を止めて調節呼吸を行うことがしばしば見られる。
以上のような必要性から麻酔学の領域では調節呼吸に関する研究が数多くある。最近,内科方面で喘息,肺気腫の治療にIPPBが行われることが多くなつたが,調節呼吸の知識はそれらの呼吸不全の治療と関連を持つものであり,またポリオ,重症筋無力症等で呼吸が停止した場合の人工呼吸や薬物中毒等の意識のない患者の呼吸管理にも応用されるものであろう。
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