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特集 血管造影法
綜説
門脈・肝・脾に於ける血管造影法
On the Venographies of the Portal vein, liver and Spleen.
羽鳥 俊郎
1
T. Hatori
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
1Dept. of Surgery, Keio University.
pp.549-555
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201011
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近年動脈及び静脈血管造影法は造影剤の改良と相俟つて進歩し深在性臓器疾患の診断に際し必要不可欠な方法となつている。このような血管造影法の進歩の段階として注目すべきことは血管系の分布領域についての解剖学的知見及び病的所見が解明されて来たことで,その結果造影剤の注入部位の選択が検討され,とくに静脈造影法では血管内直接造影剤注入法のみならず,その血管に流入する末梢側の組織或いは臓器内に直接穿刺注入する方法が行われている。その例として経脾門脈撮影法(Splenoportography)や骨髄穿刺注入法(腸骨,脊椎,肋骨等)が挙げられ,経脾門脈撮影法は門脈圧亢進症に対する外科的療法を行う前には必ず実施され,閉塞部位及び副血行路の有無,肝硬変の程度を知ることが出来る。斯る門脈撮影法には経皮的方法として経脾門脈撮影法,経肝門脈撮影法等があり,他方開腹して門脈系血管内造影剤注入法があり,夫々特長,欠点を有しているので併用して適確な診断を下すことが肝要であると考えている。著者は門脈,肝,脾に於ける血管造影法に就いて教室に於いて共同研究者と共に得た経験症例に基いて些か卑見を述べ,その足らざるところを文献により補足して諸兄の御参考に資すれば幸いと思つている。
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