Japanese
English
原著
2方向バリストカルジオグラムの臨床的応用—第3報 末梢血管抵抗増大の影響
Clinical application of the two dimensional ballistocardiogram.: Part III Effect of the increase in the peripheral vascular resistance upon B. C. G.
中村 芳郞
1
Yoshiro Nakamura
1
1慶応大学医学部内科学教室
1Fellow of Postgraduate Medical school, Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.423-428
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200995
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I.緒言
Ballistocardiographyの臨床的応用面を高血圧症に向けようとしたこころみは非常に多いが,高血圧症特有のバリスト波形の変化については,一致した意見が見られていない。これは,使用されたBallistocardiographの型式が,研究者により,各々異なつていることも一つの理由であるが,高血圧そのものによる変化と,高血圧症によつておこつた,非可逆性の病理解剖学的変化と,区別できないことにも大きな原因がある。又,バリスト波形を比較する際に,その振幅の計測値を利用することが多いが,個人差の大きなこの計測値から論ずる場合,異つた対象の,高血圧と正常状態を比較すると,この個人差がデーターをばらつかせて,2者の特徴を不明瞭にしていることも考えられる。そこで,健常成人に薬剤を負荷して高血圧状態とすることにより,可逆的な高血圧状態の示すバリスト波形の変化のみを観察し,この前後のバリスト波形を比較することにより,正常状態と高血圧状態の対象を同一にして個人差によるデーターのばらつきをなくする事は,この問題を解明する一つの手がかりとなると考えられる。
私の使用している,von Wittern改良2方向同時記録Ballistocardiographとほぼ同様の特性の装置によるかかる研究も我が国で2,31)2)見られるが,その報告の主眼が波の振幅におかれているために,私がここに発表する成績についてはふれていない。
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