Japanese
English
原著
けい肺症心肺機能に関する研究
Studies on Cardiopulmonary Functions of Silicosis.
鈴木 清
1,2
Kiyoshi Suzuki
1,2
1慶応義塾大学医学部内科学教室
2慶応堂病院
1Dept. of Internal Medicine, Keio University, School of Medicine
2Keiodo Hospital
pp.461-471
発行日 1960年6月15日
Published Date 1960/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200903
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.諸言
最近,職業病の一つとして,じん肺症に対する関心が高まつて来た。その診断は主として職歴と胸部レントゲン所見により決定されるが,その管理は労働能力の程度,すなわち心肺機能検査により客観的に行なわなければならない。しかし心肺機能はかなり複雑であつて単一の検査でその全貌を知ることは不可能である。また実際にあたつては予算,器具,または検査技術などの制約も大きい。ここに機能障害の程度を,現状にそくして,しかもできるだけ客観的に把握し得る検査体系が望まれるゆえんである。
「労働省労働衛生試験研究」によるじん肺者心肺機能研究班(班長:勝木新次博士)はつぎのごとき検査体系を提示している。すなわち,第1次検査として,胸部レントゲン写真でじん肺所見を有するもの(1p以上)について全症例に最大換気量を測定する。最大換気量が異常値を示すものは第2次検査にまわす。最大換気量が異常を認めないものでも胸部レントゲン所見が2p・m・n, 3m・nのものにはさらに運動負荷による換気量の測定を行ない,その値の異常者は第2次検査にまわす。またレントゲン写真でじん肺所見を有し最大換気量が正常でも自覚症を含む臨床所見で検査を必要と認めるものについては階段昇降による運動負荷によつて換気量の測定を行ない,その異常者は第1次検査へまわす。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.