症例
肺症状をきたす全身性疾患の分類—「全身性疾患と肺」の連載を終わるに当つて
三上 理一郎
pp.1799-1802
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202041
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はじめに
「呼吸器それ自体の病気はいろいろと広く知られている。しかし,全身性疾患に目を向けるとき,呼吸器に病変をおよぼしてくる病気も少なくない。それらは従来しばしば看過され,あるいは誤診されることも多かつた。それは狭義の全身性疾患のみならず,呼吸器以外の他臓器の場合にもいいうることである。また,胸部の病気はX線検査という診断武器によつて,自覚症状発現前に早期発見されるという大きな利点がある。これは呼吸器病学の一つの特徴である。これから,1年間にわたつて全身性疾患におけるいろいろの胸郭内病変について,症例による解説を始める。そして,このシリーズをとおして,大きな内科学のなかにおける,呼吸器病学の一つの存在意義を求めてみたいと思う。」これは「全身性疾患と肺」というこのシリーズの冒頭にかかげたプロローグであつた。そして,12回にわたり,沖中・中尾内科教室における症例のなかから24例を選んで呈示した。これだけでは,「全身性疾患と肺」の全貌を明らかにすることはむりであろう。しかし,一応ここで症例呈示を終わつて,現時点において,その全貌のoutlineそ描いてみたいと思う。紙数の制限もあるので、その分類について表による説明を試みた。この表には,肺内病変のみでなく,胸膜,横隔膜,縦隔のほかに心病変,助骨など,胸部X線写真で観察できる部位についてその病変を全部記載した。
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