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けい肺—講義ノートから
黒田 芳夫
1
1東京学芸大学
pp.10-13
発行日 1952年3月10日
Published Date 1952/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200241
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けい肺は職業病「佐渡の金山この世の地嶽ヨ」,と,おけさ節にもうたわれて,金山掘りの短命は,のがるるすべなき定めとあきらめられていた。足尾でも小坂でも,手子の小僧時分から山へ入つて,いい先山に仕上がる頃には,そろそろよろけ始めるもので,かみさんをもらつて,赤つ子の二人もできないうちに,やつぱり,いけなくなつてしまう。そのかみさんにしてからが,三度目の亭主持だつた。金山ぢや,男は早死,女は後家の二度咲き,これも亦,のがるるすべなき定めとあきらめられていた。
山掘りのはかないいのちは,西洋でも,ぎりしやの昔Hippocrates,Galenusの文書に語られ,Paracelsus,Martin Pansaによつて,それが肺疾患に由来することが,Ramacciniによつて,その保護が,述べられた。
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