Japanese
English
第9回綜合医学賞入選論文
動脈系内の血流状態
Pulsatile blood flow in the arterial system
沖野 遙
1
,
藤咲 喜一
1
,
坂口 大吾
1
Haruka Okino
1
,
Kiichi Fujisaku
1
,
Daigo Sakaguchi
1
1慶応義塾大学医学部内科教室
1School of Medicine Keio University
pp.1021-1031
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200833
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I.まえがき
生体観察の手段が最近のエレクトロニクスの進歩によつて,積分的視野から次第に刻々の変化を追うことができる様になつてきた。この内でも循環系に関する分野では,血圧の波形を忠実に記録観察でぎる様になつたとともに,血流量の観察測定にも種々な方法1-4)が考案されている。結局の目的は生体のあるがままの姿に幾分でも近づくことによつて実態を把握しようとする努力である。本文に述べる結果は血管内での拍動する血流の変化を,血管を切断したり,バイパス回路を挿入するという様な人為的血管変形を極力さけることによつて,なるべく忠実に記録して,他の変化,例えば内圧,心電図等と比較しながら検討したものである。
動脈系内での血流状態については二種の考えが提示されていて(第1図),第一は主として実験研究者に支持されているが5)6),"心臓の各拍動によつて末梢と大動脈基部との間に定在波が生じて,血液が前後運動をしながら流れる"という考えである。もう一つは主として数学者に支持されていて,"何ら著明な反射波の存在する必要はなく,心臓で起されたパルスが末梢へ行くに従つて変形されて,心臓方向への反射される成分はなしに,結果的にはそれぞれ相続く血管部分の重畳効果によつて消去されてしまう"という考えである。
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