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はじめに
このゼミナールの開催の趣旨は,最近本邦においても無切断血管について血流を連続測定する装置が開発市販されるにつれて,従来の血圧一辺倒であった血行力学の諸問題の解釈について種々新しい議論が行なわれはじめた。しかしこの種の血流計の性能については未解決の問題も多いのが実情で,その使用にさいし困難を伴う場合もよくみかける。また一方血流波記録を得たとしても,その分析法に定説がなく,ただ平均流量だけを算出するに止まらざるをえない場合も少なくない。理論的には脈動血流波は血圧波とともに心血管の動的機能を示す数多くの新しい血行動態情報を含んでいて,その活用が今後の発展に直接つながる点である。以上のような趣旨で共通の立場と悩みを持つ諸氏の御参会と討論の場が用意されたわけである。参加人数は当初予想を遙かに越えて76名(うち北海道外参加46名)に達し,連日熱心な討論と実験,展示が行なわれ設営および参加諸氏の御協力により予想外の盛会裏に終了した。
会の運営の概要は 主催 日本ME学会北海道支部 共催 北大応用電気研究所 期日 42年10月30日〜11月2日 進行表 10月30日 1p.m. 開会と挨拶:松本所長および望月支部長 2p.m. 概論:司会 望月(北大応電研) 1.血流計分類と歴史解説 沖野 2.正弦電磁形の問題点 金井 3.矩形電磁形の問題点 垣内 4.超音波形と無線伝送 上野 5.カテ形半導体方式血流形 高柳,飯尾 6.熱電対利用血流計 大串,相馬10月31日 午前 血流計の技術的問題 討論1 司会 金井(上智大理工) 午後 血流計の使用体験と問題点 討論2 司会 沖野(北大応電研) 夜 血流データ解析(その1)計論3 司会 吉本(北大応電研)11月1日 午前 血流データ解析(その2)討論3 司会 吉本(北大応電研) 各種血流計の比較実験 (その1)体外実験 午後 各種血流計による比較実験 (その2)動物実験,参会者11月2日 午前 血流計の今後の問題 討論4 司会 沖野(北大応電研)運営組織構成 責任者:北大応電研 沖野 遙 運営分担:北大応電研,北大医学部葛西及び杉江 外科,産婦人科 協賛:北大医学部麻酔科,脳神経外科,第2内科, 札幌医大胸部外科 実験協力:日本光電工業,泉工医科工業,アメリカ ンコマーシャル社, 経費協賛:日本ME学会北海道支部,上述各医局及 び日本光電工業他11社 参会者名簿は文末一覧表を参照のこと。
各セッションは一応テープ記録として責任者の編集によってまとめられたため,その内容,図表の選択についてはすべてを主催責任者に帰するため不備および誤解については御容赦いただきたいことを付記する。なお本報告書の発表に多大の御理解と御配慮をいただいた本誌編集委員各位に深く敬意と感謝の意を表する。またこの報告は3回に分割して本誌に連続掲載予定である。
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