Japanese
English
症例
慢性肺性心14症例の臨床的観察—特に診断基準について
Clinical Observation in 14 Cases with Chronic Cor Pulmonale, with Special Reference to its Diagnostic Criteria.
中村 隆
1
,
香取 瞭
1
,
渡部 哲也
1
,
内藤 誠一
1
,
石田 富一
1
Takashi Nakamura
1
,
Ryo Katori
1
,
Tetsuya Watanabe
1
,
Seiichi Naito
1
,
Tomikazu Ishida
1
1東北大学医学部中村内科
1The 1st Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Tohoku University.
pp.313-323
発行日 1963年4月15日
Published Date 1963/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201202
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緒言
近年化学療法や抗生物質の進歩にともない,肺感染症で死亡する者が激減した反面,慢性肺疾患に由来する心臓障害——すなわち慢性肺性心——に遭遇する機会が多くなつてきている。
肺性心とは,心臓自身に原因的疾患がなく,特有の肺疾患あるいは肺機能障害が原因となり,肺動脈圧の上昇を生じ,右室負担過重の状態から右室の肥大,拡張を招来し,更には右心不全を惹起した状態をいう。しかしこのような変化は一連の進展過程であり,そのいずれの段階から肺性心と定義し,診断すべきかは学者により意見のかなり分れるところである。肺血管抵抗が増大し肺動脈圧が上昇すれば,なんらかの形で右心は過剰負荷を受けているわけであるが,そのような状態をもつて直ちに肺性心と定義することは妥当であろうか。またこの場合診断上の困難性がかなりある。ちようどこの関係は体循環系における高血圧と高血圧性心疾患の関係に似ている。
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