巻頭言
僧帽弁狭窄症
和田 寿郎
1
1札幌医科大学胸部外科学教室
pp.231
発行日 1959年3月15日
Published Date 1959/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200736
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近時本邦でも漸く心臓疾患に対する手術的治療の効果が認められ出して来た様である。然し,未だ外科療法に懐疑的な立場をとるむきも少くない。
心疾患のうち外科療法の対称となるものは云う迄もなく先天性の畸型と後天性の器質的疾患であるが其の比は大凡1対4であつて患者の分布状態を見るに本邦一般病院に於ける心疾患は外来患者の約1%,入院患者の4%前後を示している事から,全国での後天性心疾患患者の数が如何に大きいものであるかがうかがい知れよう。そうしてその殆んどを占める弁膜症のうち僧帽弁弁膜症は最も多数を占める。従つて心臓外科の普及乃至発達の意味からも僧帽弁弁膜症に対する外科療法が実地的に最も重要な立場を占めるといえよう。僧帽弁弁膜症のうちで純型の閉鎖不全症は比較的少くその多くが狭窄症及び狭窄と不全との合併せるものであつて,前者に対する外科療法が未だ適格な術式が無いのに対して,幸いなるかな,後者には,欧米に於いては既に十余年来,適正な外科療法が確立されて居る。
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