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講座
一酸化炭素による肺胞内ガス拡散に関する研究—第1報:Single Breath Methodによる健康者並びに肺疾患患者の一酸化炭素拡散能力の測定と測定に及ぼす種々の因子について
Study on the mesurement of the CO diffusing capacty of the lung. :Part 1:On the measurement of the CO diffusing capacity of the normal subject and the patients of the pulmonary diseases by the Single breath method and the various factors to affect the CO diffusing capacity.
海老名 敏明
1
,
金上 晴夫
1
,
桂 敏樹
1
,
青沼 賢治
1
,
白石 晃一郎
1
Toshiaki Ebina
1
,
Haruo Kanagami
1
,
Toshiki Katsura
1
,
Kenzi Aonuma
1
,
Koichiro Shiraishi
1
1東北大学抗酸菌病研究所
pp.101-113
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200718
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I.緒言
1915年M. Krogh4)は肺胞毛細管膜に於けるガス拡散能力の測定法として一酸化炭素による拡散能力の測定を初めて発表した。しかしながら当時は物理的測定装置が発達していなかつたので,一酸化炭素の分析を化学的分析法によらねばならず従つてその操作の繁雑さの故に永い間省みられなかつた。1951年Riley10)は酸素拡散能力の測定に成功したが,本法は操作並びに計算が繁雑である上に,拡散能力が低酸素呼吸によつて変らないという仮定とBohr Integration Procedureを用いているが,この計算は肺胞毛細管膜の厚さが毛細管の全長を通じて同じ厚さでなければならないという仮定に基づいているが,Cauder及びForster12)はDco Single Breath Methodを用いて肺内の酸素濃度を低下せしめることによってDiffusion Capacityが有意の増加を見て居り,又Bartels13)等も同様な成績を得,これが広く承認されるに至つた。従つて第一の仮定が否定されるに至つたが,更に何よりその操作の繁雑さにより臨床検査法として欧米では殆んど省みられなくなつて来た。然るに拡散能力の測定は"肺胞毛細管膜ブロック症候群"の診断上極めて重要であるばかりでなく,呼吸困難,Anoxemiaの原因を探求する上に極めて大切であるので,臨床的検査法として応用出来る簡単で正確な拡散能力の測定法の出現が待望されていた。
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