びまん性心内膜筋層硬化症（Diffuse Endomyocardial Sclerosis）の1症例について

A Case Report of Diffuse Endomyocardial Sclerosis

　最近臨床的に欝血性心不全の徴候を示し，剖検上冠動脈・弁膜に異常少く，心室壁心内膜の線維性肥厚及び内側心筋層の線維化を特長とする心疾患が注目されて来た。従来Löffler　（1936）^17），Mumme　（1940）　^20），　Roulet　（1944）　^23），　Gerbaux　（1956）　^9）等は，好酸球増多を伴う症例を"End—ocarditis parietalis fibroplastica mit Blu—teosinophilie"として報告して来たが，Comeau　（1937）　^4），　Fossel　（1942）　^8），　Hughes, Smith　（1953）　^14），　Lynch, Watt　（1957）　^18）等は同様の症例で好酸球数正常のものを発表した。Lynch，Watt^18）は此の2群の病理学的所見が全く同一である事から此等を総称して濔漫性心内膜筋層硬化症（以後DEMSと略）と命名した。われわれは臨床所見より本症を疑い剖検により確認し得た1例を経験したので，ここに報告するものである。