Japanese
English
症例
心内膜線維弾性症—互いに相異る臨床像及び病理像を示した症例
Endcardial Fibroelastosis
車田 孝夫
1
,
飯野 幸子
1
,
諏訪 珹三
1
,
柳川 康造
1
,
大国 真彦
1
,
岡田 了三
2
Takao Kurumada
1
,
Ryozo Okada
2
1東京大学医学部小児科学教室
2東京大学医学部病理学教室
1Dept. of Pediatrics, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo.
2Dept. of Pathology, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo.
pp.467-475
発行日 1963年6月15日
Published Date 1963/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201222
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I.緒言
心内膜線維弾性症は1818年Kreysigによつてはじめて記述されたといわれているが,その後,数多くの報告があり,種々の異つた名称で呼ばれて来た。1943年Weinbergら1)が主として弾性線維の増生による左心室心内膜のび慢性肥厚を特徴とする原因不明の乳児の心疾患に,Endocardial fibroelastosisなる病名を与えて以来,今日ではこの言葉が最も一般に使用されている。しかしながら,本症にみられる如き心内膜病変に類似した変化が,他の心,脈管奇形に合併し,いわば続発性に生じたと考えられる場合もあること,年長児又は成人の心内膜にも或る種の条件の下では類似の病変が起り得ることなど2)〜5)28)39)〜41)43)45)のために,本症の病理学的乃至発生病理学的把握の仕方に,従つて本症の分類,呼称に関しては若干の混乱がみられるようである。
臨床的には,小児期,特に乳児期において従来,所謂特発性心肥大症と診断され,比較的急激に心不全の症状を唾して死亡する症例の中に,本症が少なからず含まれていることが考えられている33)が,本邦においても既に数例の報告46)〜52)がみられる。
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