連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール
術前に診断困難であった直腸がん異時性びまん性子宮筋層転移の1症例
中島 文香
1
,
丸山 康世
1
,
平吹 知雄
1
1小田原市立病院産婦人科
pp.285-288
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209269
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症例
▶患者
73歳,2回経妊2回経産,閉経55歳.
▶主訴
自覚症状なし.
▶既往歴
直腸がん,高血圧,子宮筋腫.
▶現病歴
71歳時に直腸がんに対して,前医外科で腹腔鏡下低位前方切除術を施行し,直腸がん,25×25mm,SE, ly0v0n0,stageⅡの診断となり,後療法不要で術後フォローアップ中であった.術後に一度CEA 1.9ng/mL,CA19-9 8.8U/mLまで低下していた腫瘍マーカーが,当院来院2か月前から徐々に上昇する傾向にあった.胸腹部造影CT検査で子宮体部に造影効果を認めたが,大腸内視鏡検査にて直腸粘膜に異常はなく,子宮体がんを強く疑い,精査目的に当院当科へ紹介受診となった.若年時より多発子宮筋腫の指摘はあった.不正性器出血などの本人の自覚症状はなかった.
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