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小児期の末,成人になると,精薄,ケイレン,顔面皮脂腺の腺腫という徴で診断される。しかし,幼児期には顔面腺腫がないと(20〜30%)診断がむつかしくなる。著者例はpolyhydroamnionの母から36週で生れた第3児,2800g,頭囲32cm,胸囲31cm,頭・腰・四肢に黄白色線維性のpeau de chagrinの結節あり,左胸腔にホモジーンの濃い陰影あり,心を右方に圧排す。この所見からtuberous sclerosisと,診断し,第2日開胸,心筋によく密着した5×3.5×3.5の大きな腫瘤切除,第3日死亡。心筋から生じたrhabdomyoma。脳300g,頭頂葉皮質,側脳室壁,第四脳室後壁などにastrocyteからなるglial noduleあり。さてtuberous sclerosisのadenoma sebaceumは出産時から存する(Walsh, M, N.:Proc. Ma—yo Cl.13: 155,1938)といわれるが,2歳の末ごろにならないとはつきりしない。したがつて診断に困るが,本症は他にも皮膚所見あり,本例のようなpeau de chagrinは新生児から見られるのが多い(Chao, H. C. D.: J.Pediat 55:447,1959)。その他線維腫,myolipomaなども見られることがある。本症はまれな疾患で重症例は幼時に死亡するが,軽いものは進行緩慢で,精薄あるいはそのformes frustesを呈するにとどまる。遺伝的に優勢の疾患らしいが,成因あきらかでなく,Recklinghausenやvon Hippel-Lindauとの関係も明かではない。この母親はmigraine頭痛をもつていた。migraineだけというtuberous sclerosisも報告されているので,この患者も遺伝的と考えてよいであろう。
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