他科の知識 顔面形成の基本手技・1
曲線の手術
丹下 一郎
1
1順天堂大学形成外科
pp.956-960
発行日 1966年7月20日
Published Date 1966/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204038
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はじめに
個体の身体的苦痛をいやすことを主な目標とした従来の臨床医学と較べて,形成外科は,(身体的病気の有無にかかわらず)"身体外表の固定した醜くさによる精神的苦痛を除くことを固有の目的とする社会医学"である1)2),したがつて,病気や手術そのものについての扱い方,考え方に相異する点が少なくない.
そのような相異点のうち,形成外科の実際面における特質の一つは,「移植(あるいは移動)によるartisticな造型」ということである.これはすなわち,人体を科学的に見,科学的に扱うことと同時に,これを審美的に,たとえば「顔面は復雑な曲線および曲面から成る立体である」と,考えて扱うことである.本稿ではまず主として,さような意味での曲線の処置について,すなわち1次元的な手術について述べる.
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