Japanese
English
Ebstein氏病の症例
Ebstein氏病の1例
Ebstein's disease, Report of a case diagnosed clinically
井上 正
1
,
小田 豊
1
,
小沢 博
1
Tadashi Inoue
1
,
Yutaka Oda
1
,
Hiroshi Ozawa
1
1慶応義塾大学医学部外科教室
1Dept. of Surgery, School of Medicine, Keiō University.
pp.65-68
発行日 1958年1月15日
Published Date 1958/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200585
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Ebstein氏病の基礎をなすものは,三尖弁の位置異常であつて,三尖弁後尖並びに中央尖は融合して線維輪下の右室心筋に附着して,右室を近位部と遠位部とに二分する1)。この際後尖,中央尖は多く線維組織化して,発育不全を呈する。近位部は大きな薄壁の右房化した部分であつて,遠位部は右室機能を営み,小さな一室となつている2)21)。
古く1866年Ebsteinの最初の報告4)以来,Yater5)は生前臨床診断は不可能であると結論した。其の後剖検例について幾つかの報告1)6)−8)24)25)があり,Engle1)に到り生前臨床診断の可能性が示唆された。其の後臨床診断法の発展に伴い,心臓カテーテル法9),心臓血管造影法10),或は両者によつて11)生前診断をなし得た症例が報告され,以来いくつかの症例3)12)−23)報告が之に続いた。就中Goodwin等2,3の人々13)14)21)は生前診断し剖検にて確認した症例を報告した。本邦に於ても臨床例の報告26)がある。我々も最近臨床的に本症と診断し得た1例を経験したので報告する。
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