Japanese
English
診療指針
尿毒症の治療
Treatment of uremia.
村上 精次
1
,
池本 秀雄
1
MURAKAMI SEIJI
1
,
IKEMOTO HIDEO
1
1順天堂大学医学部第1内科
1Juntendo University School of Medicine, 1st Department of Internal Medicine
pp.413-418
発行日 1957年6月15日
Published Date 1957/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200506
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所謂尿毒症という言葉は臨床上或種の症状群を表現するのには便利なものであるが,今日なお,その物質代謝障害の本態が不明であるので,その言葉の概念は甚だ複雑であり,あいまいでもある。この故に最近英米では,尿毒症という言葉よりは,むしろ腎不全(急性或いは慢性)なる言葉を用いるような傾向にある。併しそれはさておき,今日まで尿毒症と称せられてきたものに (1)慢性(真性,無力性,窒素血性)尿毒症, (2)急性(子癇性)尿毒症, (3)偽(仮性)又は精神病性尿毒症がある。尿毒症の本態に関しては未解決の問題が甚だ多いが,後2者は急性腎炎,妊娠腎,脳動脈硬化等の際,腎機能が殆ど障害されていないのにも拘らず子癇様痙攣が突発する型のものであり,前者と発生機転を異にし,従つて予後並びに治療法も自ら異つてくるが故に,最近はOppen—heimer, Fishberg等に従つて高血圧性脳症という名称が用いられ,前者と区別して考えられる傾向にある。これに反し,今回主として述べる真性尿毒症は腎機能不全に基く蛋白代謝産物の蓄積と水及び電解質の平衡障害によるものであるが,腎機能不全の原因としては腎実質の障害のみならず,腎外性因子もその原因となりうる故に,腎不全のおこる機転により真性尿毒症を腎前性,腎性並びに腎後性の3つに分けることができる。腎前性尿毒症は強度の脱水或いは末梢循環不全等のため腎血流量の顕著な減少によるものである。
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