今月の主題 心筋症—その展望
原因のはっきりした心筋症
尿毒症
秋沢 忠男
1
,
越川 昭三
1
1昭和大藤が丘病院内科
pp.58-59
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215721
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はじめに
尿毒症性心筋症という概念は極めて漠然としており,尿毒症に際してみられる炎症,代謝異常,変性などによる心筋の障害と考えられる.したがって広義に解釈すれば,動脈硬化,高血圧,貧血などに起因する心筋症を包括した尿毒症患者にみられる心筋障害のすべてを示し,狭義に用いた場合は,尿毒症による蓄積物質(uremictoxins)により発症した心筋障害を意味する.後者の概念による尿毒症性心筋症が存在するか否かについて幾多の論争が続いている1〜4).表1に狭義の尿毒症性心筋症の病因として報告されたものを示すが,hyperparathyroidismによる心筋など諸臓器へのCa沈着を除いて,現在広く認められているものはない.尿毒症血清などを用いたin vivoの動物実験では心筋機能の低下を示すものが多く,未知の要因で心筋障害がひき起こされている可能性は強いものの,成因や特有の検査・組織所見が明らかとなるまでは尿毒症性心筋症は広義の意味で使用されるべきであるとの意見が大勢である.
本稿ではこのような論争の詳細は避け,広義の尿毒症性心筋症について解説してみたい.
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