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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管構築と血管機能・病態
血流に起因する力学的刺激が創傷治癒過程の血管新生を制御するメカニズム
Regulatory mechanism of wound angiogenesis by blood flow-driven mechanical force
弓削 進弥
1
,
石井 智裕
1
,
福原 茂朋
1
Shinya YUGE
1
,
Tomohiro ISHII
1
,
Shigetomo FUKUHARA
1
1日本医科大学先端医学研究所病態解析学部門
キーワード:
血管新生
,
創傷治癒
,
内腔圧
,
BARタンパク質
,
TOCA1
Keyword:
血管新生
,
創傷治癒
,
内腔圧
,
BARタンパク質
,
TOCA1
pp.987-991
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289130987
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血管新生は既存の血管から血管枝が出芽・伸長し,新たな血管を形成する生命現象であり,胎生期には全身に張りめぐらされる血管網を形成する一方,成体では創傷などによって誘導され,組織修復に寄与する.また,がんなどの疾患では病的な血管新生の誘導により未熟な異常血管が形成され,疾患の病態を悪化させる.血管新生はvascular endothelial growth factor(VEGF)などの血管新生因子によって誘導されるが,最近の研究から,血管内皮細胞に作用する力学的刺激が血管新生因子の作用を調節し,血管新生プロセスを制御していることが明らかになってきた.たとえば,血流に起因するシェアストレスは,血管新生における血管の出芽や退縮,管腔形成に関与することが報告されている.最近,筆者らはゼブラフィッシュ成魚の創傷治癒のライブイメージング解析から,損傷血管が血管新生により修復される際,血流に対して下流側の損傷血管が活発に伸長するのに対し,上流側の損傷血管は血流に起因する内腔圧によってほとんど伸長しないことを発見し,創傷治癒過程の血管新生における内腔圧の新たな役割を発見した.
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