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肺結核と氣管支鏡
粟田口 省吾
1
1東北大抗酸菌病研究所
pp.193-197
発行日 1953年4月20日
Published Date 1953/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200879
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肺結核患者に内視鏡検査が始めて行われたのは文献上では1928年であります。即ちこの年に殆んど時を同じうして,米國のSchonwald氏,並にVinson氏が各々別個に,喘鳴を訴えておる肺結核患者に氣管支鏡検査を實施して,各々氣管支内に肉芽腫を發見しております。その後米國では,Jackson氏,Myerson氏,Keman氏,McIndoe氏,Samson氏,Eloesser氏等が相次いで肺結核患者の内視鏡検査を實施して,今日の肺結核の内視鏡検査の基礎を確立しました。然し歐州諸國では,肺結核患者の内視鏡査は比較的おくれて實施されたようであります。只呼吸困難を訴える小児に,内視鏡検査を實施して,肺門淋巴腺の乾酪巣が氣管支内に穿孔しておつたのを,偶然,確認した。症例は1914年ごろの文献にも記載されておりますが,實際に肺結核患者の内視鏡検査が實施されたのは,第二次大戰後で,ないかと思います。さて日本でも戰後肺結核の診斷,治療,就中,外科的療法が盛んになるにつれて,肺結核患者の内視鏡検査の重要性が漸次認識され,1948年以來,随所で實施せられるようになり,今日では,肺結核の診療には缺くべからざる重要なものとなりました。
私は此處に,過去4年半の間に實施して來た,肺結核患者の内視鏡検査の小經驗と,肺結核屍,或は結核切除肺の病理解剖學的検索から得た,氣管支結核の知識とを基礎として,いささか私見を述べてみたいと思います。
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