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低温の上氣道粘膜再生に及ぼす影響
林 榮光
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1北海道大學醫學部耳鼻咽喉科教室
pp.1-2
発行日 1949年1月20日
Published Date 1949/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200115
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余は本誌上に於て上氣道が低温により病理學的に著明なる變化を受くることに就て報告した。上氣道粘膜の損傷は單なる外傷よりも寧ろ手術的操作に際し屡々遭遇せらるるもので,從つてその治癒状況は臨床家の注目する所となり,之に就て若干の研究報告もあるのであるが,是が低温によつて如何に影響せらるるかといふ點に就ては何等言及せられたるものがない.上氣道が低温により變化を蒙ることを知れる余にとつては,低温と損傷治癒との關係を明にすることは,寒地に於ける治療醫學といふ樣な問題からは言ふまでもないが,個人的にも興味を感じたので,表題の如き研究を試みたのである.
實驗動物には成熟家兎を使用し,之を3群に分ち,1群は對照として單に損傷のみを加へ,他の1群は豫め低温に曝露し,然る後に作創し,殘りの1群は損傷を加へし後,連日一定時間,低温室に置き,各群の30日間の治癒經過を病理學的に觀察比較したのである.尚ほ損傷は小鋭匙を以て鼻中隔,咽頭後壁,氣管前壁に出血を限度とせる掻爬を施したのである.
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