Japanese
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綜説
冠攣縮性狭心症に対する和温療法の効果
Effect of Waon Therapy on Vasospastic Angina
石井 克尚
1
Katsuhisa Ishii
1
1関西電力病院循環器内科
1Department of Cardiology, Kansai Electric Power Hospital
pp.171-174
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102410
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はじめに
低温サウナ(和温)療法は鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学の鄭忠和 名誉教授(現:和温療法研究所所長)らの研究グループが提唱している治療法で,60℃の乾式低温サウナで全身を15分間均等加温・保温し,深部体温を約1.0℃~1.2℃上昇させた後,さらに30分の安静保温し,水分補給するという方法で,週に数回,数週間継続するものである.これまでに和温療法により,末梢動脈疾患の患者では虚血症状を和らげ,また慢性心不全患者における運動耐容能を改善することが報告されている1~4).今回,われわれは,連続的な和温療法は冠攣縮性狭心症の患者における心筋虚血および狭心症発作を改善することを報告した.
冠攣縮とは,心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が一過性に異常に収縮した状態と定義される.冠動脈が攣縮により,完全またはほぼ完全に閉塞されると,その灌流領域に貫壁性の虚血が生じ,その結果,心電図上ST上昇を伴う狭心症発作が起こる.冠動脈が攣縮により,不完全に閉塞されるか,またはびまん性に狭小化される場合,あるいは攣縮により完全に閉塞されてもその末梢に十分な側副血行路が発達している場合は非貫壁性の虚血が生じ,ST下降を伴った狭心症発作が起こる.これらの病態をまとめて,冠攣縮により生じる狭心症という意味で冠攣縮性狭心症という.狭心症発作時のST上昇を特徴とする異型狭心症も冠攣縮性狭心症の一つである.冠攣縮は異型狭心症のみならず,安静狭心症や労作狭心症および急性心筋梗塞などの発生にも重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた.急性冠症候群の発症における冠攣縮の関与の機序も解明されつつある.
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