巻頭言
喘息とCOPDの合併を考える
井上 博雅
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
pp.895
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102320
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気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,ともに気道の炎症に基づく閉塞性換気障害を呈する疾患である.両者とも有病率が高く,日常臨床でよく遭遇する.
喘息の基本的な病態異常である気道の慢性好酸球性炎症は,ステロイド感受性であることが明らかとなって,吸入ステロイドの普及により喘息コントロールは向上し,喘息死は世界的にも著明に減少した.近年では,病像の多様性や様々な病態・増悪因子の研究とともに,喘息は症候群と考えられるようになり,重症喘息ではバイオマーカー利用による治療戦略も提唱されている.本邦の喘息死も減少傾向にあるが,その多くが高齢者であることが問題である.実際,喘息患者の喫煙率も高く,人口の高齢化とともに,最近では特に高齢者での喘息とCOPDの鑑別や合併が話題となっている.
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