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特集 疾患感受性遺伝子解析による呼吸器疾患の病態解析
ゲノム解析とサルコイドーシス
Genetic Analysis of Sarcoidosis
慶長 直人
1
Naoto Keicho
1
1結核予防会結核研究所生体防御部
1Department of Pathophysiology and Host Defense, The Research Institute of Tuberculosis, JATA
pp.926-931
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102319
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はじめに
サルコイドーシスは,肺,リンパ節,目,皮膚などに非乾酪性肉芽腫を形成する比較的稀な全身性炎症性疾患である.特にわが国では突然死の原因として,心臓病変,刺激伝導系に病変が生じる例が知られている.
サルコイドーシスは世界中で見られ,多くの報告で,20歳,30歳代に男女両性に発症ピークがあり,もう一つのピークが中年以降の女性にある.発症率には人種差,地域差があり,欧米では人口10万人あたり10~40人とされるが,日本人ではそれよりかなり低頻度である.米国では特にアフリカ系の人々に発症しやすく,慢性化,重症化しやすいことが知られる1).
約3分の2の症例は早期に自然寛解するが,約10%は慢性ないし進行性の経過をたどる.欧米ではLöfgren症候群といわれる両側肺門リンパ節腫脹,結節性紅斑,急性関節炎を特徴とするサルコイドーシスの急性型がよく知られているが,わが国ではかなり稀である.
サルコイドーシスの宿主遺伝学的研究と免疫学的研究の進展は相互に関連しているため,本稿では初めにサルコイドーシスの免疫病理が現在どのように理解されているか簡単に触れて,その後,最近のゲノムワイド関連解析の成果について述べる.
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