Japanese
English
特集 急性呼吸不全の呼吸管理
一般診療におけるARDS治療
Treatment for ARDS in General Practice
小谷 透
1
Toru Kotani
1
1東京女子医科大学麻酔科学教室・中央集中治療部
1Department of Anesthesiology and Intensive Care Medicine, Tokyo Women's Medical University
pp.713-716
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102274
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はじめに
2000年に低容量換気戦略の成果が発表され,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)治療は新しい時代へと大きく舵を切ったが,現実的には生存率の大きな改善には至っていない.この理由として,薬物療法が確立されていない,エビデンスのある低容量換気を実際には使用していない,PEEP設定には個人差があり画一的な設定では機能しない,ALI(急性肺障害)/ARDSの診断基準が曖昧で重症例と軽症例が同じRCTで評価されることでデータが薄められている(生存率の高い軽症例の存在で重症例への正しい評価になっていない)など,様々な議論が交わされてきた.
ARDSは急速に進行する低酸素血症を主徴とし,様々な背景病態から発症する.発症早期には画像所見に一致しない低酸素血症を呈することもある.死亡原因は多臓器不全であり,治療では多臓器不全を防止するための各種重要臓器機能の監視と,人工呼吸をはじめとする呼吸管理と,それに伴う合併症予防,循環管理,せん妄予防,栄養管理,など多岐にわたる.治療は設備と人員の整った集中治療室で行うことが求められる.
本稿では最近提案されたARDS新定義であるBerlin定義を紹介し,新定義に従って一般診療のなかでARDSをどう診断し集中治療につなげるかについて総括する.
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