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特集 急性呼吸不全の呼吸管理
急性呼吸不全における人工呼吸の歴史
History of Mechanical Ventilation in Acute Respiratory Failure
横山 俊樹
1
,
近藤 康博
1
Toshiki Yokoyama
1
,
Yasuhiro Kondo
1
1公立陶生病院呼吸器・アレルギー内科
1Department of Respiratory and Allergic Medicine, Tosei General Hospital
pp.705-711
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102273
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人工呼吸のはじまり
人工呼吸の歴史は古く,人類文明の歴史とともにあるといっても過言ではない.紀元前5世紀にはHippocratesが挿管による窒息の治療についての記載をし,紀元前4世紀ごろには空気が生命に不可欠だと知られていたとの記録もある.実際に医学の領域において,呼吸を補助する治療が認知されるようになったのは16世紀ごろと言われ,1530年スイスの医師Paracelsusはふいごを用いて患者の口から空気を送り,瀕死の患者を救命したとされている1).その後17世紀から18世紀にかけてふいごを用いた換気について様々な手法が開発され,呼吸不全の治療に用いられた.しかしながら当時は挿管管理が可能となるような器材がなく,十分に挿管人工呼吸管理は発達しなかった.また,ふいごによる換気は重篤な気胸を来すことがあり,当時はレントゲン技術もなかったため致命的となることが多く,ふいごによる呼吸管理はむしろ危険な方法と認識されるようになっていった.その結果,非侵襲的に換気を行う陰圧・体外式人工呼吸器が主流となり,後述のようにいわゆる「鉄の肺」などが開発されるようになっていった.
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