増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
疾患からみた内科エマージェンシー
呼吸器疾患
65.急性呼吸不全
木村 謙太郎
1
1大阪府立羽曳野病院・集中治療科
pp.1890-1894
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900482
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●急性呼吸不全とは
広義の呼吸器系を構成する多様なサブシステムのいずれかに生じた,器質的,機能的破綻の結果,生体のエネルギー代謝が急速に危機に瀕する病態を急性呼吸不全と理解したい.
具体的な病態指標は,動脈血中のPaO2の低下であるが,機能障害のあり方によっては,肺胞換気量の相対的減少を反映するPaCO2の上昇を伴うこともある.しかし,数時間から数日の時間経過で発症し,放置すればほぼ確実に破局に至るこの病態は,血液ガス異常を共通の契機とする複雑な悪循環連鎖過程であり,誘因や原因疾患に修飾された全身的な症候群でもある.単なるガス交換障害と考えてしまうと,「木を見て森を見ない」破目に陥ることになる.図1のようにトータルな悪循環連鎖過程と理解し,表1に挙げるような急性呼吸不全の属性をよく配慮して対策を講じなければならない.
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