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はじめに
OCTは近赤外線と最新の光ファイバー技術を用いた高解像度の画像診断技術である.1990年に2人の日本人(山形大学の丹野,米国マサチューセッツ工科大学のFujimoto)により開発され,1991年に日米両国で同時に特許申請された.開発当初は眼科領域で角膜の画像診断に実用化され,2005年に冠疾患領域にtime-domain OCTが臨床応用された.time-domain OCTは,0.016インチのワイヤー方式で,イメージングには煩雑な手技を要したため,主に研究目的で利用された.OCTで用いる近赤外線は赤血球により減衰するので,イメージングにあたっては一時的に冠血流を遮断し血液を除去する必要がある.そのため,専用のオクルージョンバルーンを用いて,標的病変の近位部で血流を遮断し,自動注入器を用いてリンゲル液をフラッシュしなければならなかった.冠血流の遮断は心筋虚血を誘発するため,観察距離は冠血流遮断時間に依存した.プルバックスピードは毎秒1mmの設定で,約30mmを観察するのが限界であった.2009年になると第二世代のfrequency-domain OCTが登場した.frequency-domain OCTは,血管内超音波(intravascular ultrasound;IVUS)と同じモノレールタイプのカテーテルとなり,取り扱いが簡単になった.オクルージョンバルーンを必要とせず,ガイディングカテーテルから造影剤を直接冠動脈内にフラッシュしている間に撮像ができるようになった.プルバックスピードも毎秒20mmと高速になり,数秒間で50mmが観察可能となった.イメージング手技の単純化は,OCTを研究デバイスから臨床ツールへと進化させ,それに伴い臨床使用も急速に増加した.特にわが国におけるOCTの普及は目覚ましく,動脈硬化の診断や冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)の補助装置としての有用性が多数報告されてきた.
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