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特集 血管内イメージングを再考する
MDCTは予後(心血管イベント)を予測し予防できるか?
MDCT for Diagnosis of Coronary Artery Disease
元山 貞子
1
Sadako Motoyama
1
1藤田保健衛生大学循環器内科
1Department of Cardiology, Fujita Health University
pp.633-638
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102256
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はじめに
冠動脈CTは近年,冠動脈狭窄診断,およびプラーク描出が可能な検査方法として,臨床の現場で確立した検査方法となった.冠動脈CTは,経静脈的に造影剤を投与し,心電図を装着し,心電同期でCT撮影を行うことで画像が得られる.冠動脈狭窄の評価には長年,侵襲的冠動脈造影(invasive coronary angiography;ICA)が用いられてきた.また,冠動脈プラーク観察には血管内超音波(IVUS),血管内内視鏡,光干渉断層法(OCT)などが用いられているが,いずれも侵襲的であると同時に,一般的には,治療標的血管のみの観察に限られる.これらと比較して,CTの利点は①非侵襲的な検査方法で,②1回の検査で心臓全体が描出可能な点である.また③検査時間も短く(撮影は数秒から十数秒程度,検査全体でも15分程度),④検査は比較的簡便である.欠点として,①空間分解能および②時間分解能の限界が挙げられる(空間分解能は0.5mmスライスの装置を用いても0.35mm程度,時間分解能は,0.275秒/回転の装置を用いれば,ハーフ再構成で0.14秒程度).そのため,③撮影中の息止めが必要なことや,④頻拍や不整脈時に鮮明な画像を得ることが困難であることも限界の一つである.また,⑤組織分解能が低いことや,⑥形態評価に限られるという欠点ももつ.本稿では,冠動脈CTが登場し,虚血性心疾患の診断・治療がどう変わったか,予後評価の可能性を含めて述べる.
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