特集 緑内障診療の新しい展開
次世代OCTで可能になること
板谷 正紀
1
1京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学(眼科学)
pp.136-144
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101524
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はじめに
ここ2年来,フーリエドメイン(Fourier domain:FD)光干渉断層計(OCT)が,次世代のOCTの技術として注目されてきた。2006年のAmerican Academy of Ophthalmology(AAO)の機器展示では,すでに7社から商用機の展示があり,うち2社は米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の認可を受けていた(すなわち,残り5社はFDAに申請中である)。OCT3000を中心とする眼底用タイムドメインOCTは,知る限り3社の商用機しかなかったわけであるから,フーリエドメインOCTの実用化の勢いに驚いた方々は少なくないと思う。その勢いの理由は,タイムドメインOCTほど強い基本特許がなかったことが考えられるが,それ以上にフーリエドメインOCTがタイムドメインOCTを圧倒する基本性能をもつためと考えられる。
近年,緑内障診断機器として,HRT2,GDx,OCT3000の3つの光学診断機器が,ほぼ同程度の緑内障検出力を有するとされる。このなかでOCTだけが,フーリエドメインOCTへと技術革新が起きているため,今後OCTが緑内障診断機器の本命に浮上する可能性が高くなってきた。この時点で,フーリエドメインOCTが緑内障診療において何を可能にするかを予想することはよいタイミングと考える。
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