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特集 喘息病態の修飾因子・難治化因子
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
Sleep Apnea Syndrome
近藤 光子
1
Mitsuko Kondo
1
1東京女子医科大学内科学第一講座
11st Department of Medicine, Tokyo Women's Medical University School of Medicine
pp.535-541
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102234
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はじめに
2007年のNational Asthma Education and Prevention Program Expert Panel Report 3(EPR3)1)において,治療抵抗性,難治性喘息の一部で特に肥満のある患者に,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の合併の可能性があると指摘している.ポリソムノグラフィーを用いて検討した喘息におけるOSASの頻度は重症喘息では88%,中等症喘息では58%,喘息のないコントロールでは31%であり,重症喘息におけるOSASの合併頻度が著しく高いという報告がある2).質問票を用いた検討でも治療抵抗性の喘息におけるOSASのオッズ比は3.6であり,肥満,胃食道逆流症(GERD),鼻疾患,精神疾患などを補正しても2.87と高い(表1)3).このように,治療抵抗性,難治性喘息においてOSASの合併頻度は高く,OSASは喘息のコントロールを不良にさせ,難治化に関与する因子であることが示唆されている.喘息とOSASは別の疾患であるが,夜間の気流閉塞,低酸素,換気の低下は共通しており,睡眠に関連する呼吸機能障害という点からも共通である.肥満やアレルギー性鼻炎は喘息とOSASの共通した増悪因子として働き,喘息とOSASは相互に悪影響を及ぼす.本稿でははじめにOSASの病態を簡単に述べ,次にOSASが存在すると喘息の病態にどのような影響を与えるか,また逆に喘息の存在はOSASにどのような影響を与えるかについて考察し,最後にOSASの標準的な治療であるCPAP治療が喘息にどのような影響を与えるかについて紹介する.
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