増刊号 Common Disease 200の治療戦略
呼吸器疾患
睡眠時無呼吸症候群
高崎 雄司
1
1東海大学健康科学部
pp.326-328
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904104
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疾患概念と病態
覚醒時の呼吸は,主に代謝性呼吸調節,それに行動性呼吸調節が一時的に働いて,動脈血中の酸素と炭酸ガス分圧値(PaO2とPaCO2)を一定に保つよう,換気量が調節されている.一方,睡眠時,特にnon-REM睡眠に移行すると,行動性調節は消失し,換気は代謝性調節のみに依存するようになり,規則正しい換気が観察できるようになる(図1参照1)).この代謝性呼吸調節機構に何らかの機能的異常が生じると,睡眠時無呼吸症候群(sleepapnea syndrome:SAS)を代表とする,様々な睡眠呼吸障害が発症するようになる.本稿の目的はSASなので,SASに限って言及する.
閉塞型SAS(obstructive SAS:OSA)は,上気道の相対的狭窄に基づく睡眠時の上気道閉塞がいったん起こると,呼吸調節機構の変調(周期性)を引き起こすため,結果として繰り返す無呼吸が出現した病態をいう2).一方,中枢型SAS(centralSAS:CSA)は多種多様な病態,すなわち入眠直後の覚醒と浅睡眠の繰り返し,左心不全にみられる血液循環時間の遅延,中枢神経障害患者の換気化学調節の反応性増大などが代謝性調節の安定性低下を惹起する結果,発症するものと思われる2).
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