巻頭言
スパイロメトリーをせずにCOPDを診断できるか?
浅野 浩一郎
1
1東海大学医学部内科学系呼吸器内科学
pp.507-508
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102235
- 有料閲覧
- 文献概要
現行ガイドラインにおけるCOPD診断基準では,気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで一秒率が70%未満であることの証明が必要である.先日,内科医院を開業している大学時代の同級生から「スパイロメトリーをせずにCOPDを診断するには」という講演を医師会の勉強会でやってもらえないか,と依頼があった.残念ながら企画が流れて実現には至らなかったが,彼と意見のやりとりをするなかでいろいろと考えさせられることがあった.
確かにCOPDガイドラインには「スパイロメトリーが施行できない場合にも利用可能な診察・検査を活用してCOPDの診断を行わなければならない」と記載され,そのための指針として,IPAG(International Primary Care Airways Group)ハンドブックの日本語訳が紹介されている.しかし,動悸,胃食道逆流症状,体重減少,持続性の呼吸器症状などCOPD患者で認められうる症状が除外基準に含まれていたり,COPD質問票の特異度がわずか40~64%(感度は85~94%)と低いなど,はたしてこれに基づいて長期的な薬物治療を行って良いのか,はなはだ疑問である.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.