今月の臨床 子宮体癌診療の動向─これだけは知っておきたい
子宮体癌の予後規定因子
平井 康夫
1
1癌研有明病院婦人科/細胞診断部
pp.1617-1621
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102520
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はじめに
子宮体癌は,全体として比較的予後良好な疾患であると考えられているが,Stage IIIの症例の5年生存率は37.5%,Stage IVでは8.5%と進行例の予後が悪いことが大きな問題点となっている1).米国において,年間5,900人が子宮体癌によって死亡2)しており,日本においてもその羅病率は近年増加傾向にある3~6).
子宮体癌治療の選択に当たって,重要な予後規定因子の選定とそのリスク評価が不可欠である.治療選択に特に重要な予後規定因子は,筋層浸潤の深さ,リンパ節転移の有無,脈管侵襲,術中腹水細胞診,子宮頸部への癌の浸潤,組織型と分化度,核の異型度,エストロゲン依存性の有無,腫瘍内progesterone receptor値,分子遺伝学的因子(PTEN遺伝子変異の有無,遺伝的不安定性の有無,K-ras変異の有無,p53の異常の有無)などがある.これらの重要な予後規定因子の組み合わせによる,術後再発リスク分類を併せて試みる.
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