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はじめに
医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia;NHCAP)とは,2005年に米国胸部疾患学会(American Thoracic Society;ATS)と米国感染症学会(Infectious Diseases Society of America;IDSA)が共同で発表した院内肺炎(Hospital acquired pneumonia;HAP)ガイドラインにおいて,HCAP(healthcare associated pneumonia:医療ケア関連肺炎)として公式に初めて紹介された疾患概念である1,2).
その概念は,当初HAPのなかでも,特に耐性菌のリスクが高い一連の肺炎群の一つとして挙げられていた.しかし,そのオリジナルの定義をみると,一見してHCAPの要件を満たす肺炎患者は純粋なHAPではなく,市中肺炎(community-acquired pneumonia;CAP)として診療される可能性が高いことが理解できよう(表1).
つまり,従来のCAPとHAPの2分法では当てはまらない,その中間に位置する肺炎群と考えるのが妥当である1).
米国を中心とする多くのHCAPに関する報告では,その原因菌の耐性度や予後(死亡率)をみた場合,実際にはHCAPのそれらは,明らかにCAPよりもHAPに近いことが明らかとなり,わが国からのその後の報告もほぼ同様である1~4).一方で,わが国の比較的健康な高齢者が入所している施設からは,むしろHAPよりもCAPに近いHCAPの状況も報告されている5).
したがって,HCAPはやはりCAPとHAPの中間であり,その施設や地域の状況によって,CAP寄りもしくはHAP寄りに対応していくことが重要である.
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