Japanese
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綜説
COPDの新しい臨床研究―UPLIFT-TORCH以後
Recent Clinical Research in COPD:Post UPLIFT and TORCH Study
小荒井 晃
1
Akira Koarai
1
1和歌山県立医科大学内科学第三講座
1Third Department of Internal Medicne, Wakayama Medical University
pp.1009-1015
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101804
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はじめに
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)は長い間,治療にあまり反応しないと考えられていたが,TORCH試験およびUPLIFT試験の2つの大規模試験とその後のサブ解析により,気管支拡張薬である長時間作動型吸入β2刺激薬(サルメテロール)および長時間作動型吸入抗コリン薬(チオトロピウム)あるいはサルメテロールとステロイド配合剤による症状改善および増悪抑制効果が示され,COPD進行や死亡率にも効果を示しうることが認識された.
COPDの増悪は,患者のQOLを低下させ,経年的肺機能低下を促進し,死亡率を増加させることからその制御が重要であるが,吸入ステロイドに加え,気管支拡張薬自体もその増悪発現を抑制することが示されたことから,その機序や薬剤による制御に関して近年より興味が持たれている.
また,最近ではCOPDはいくつもの異なった要因からなる肺およびその他の臓器に複合的な影響を及ぼす疾患と認識されているが,その表現型(フェノタイプ)や詳しい機序に関してはいまだ十分に解明されていない.そのためCOPDの根底にある機序や新たな進行指標を明らかにすることを目的とした多施設共同大規模試験であるECLIPSE試験が最近,初めて施行され,新たな知見が報告されている.
本稿ではECLIPSE試験およびチオトロピウムとサルメテロールの増悪抑制効果に関して比較したPOET試験について解説する.
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