今月の臨床 婦人科外来検診マニュアル
D.ウイルス感染症
21.TORCH症候群
舟木 憲一
1
1東北労災病院産婦人科
pp.436-440
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901683
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TORCH症候群とはトキソプラズマ(To.toxo—plasma),風疹(R.rubella),サイトメガロウイルス(C.cytomegalovirus),単純ヘルペスウイルス(H.herpes simplex virus)による妊娠初期の母体感染によって妊婦には症状がないか,軽微にもかかわらず,胎児・新生児に重篤な合併症を来たす疾患をまとめたものである.いずれも妊娠中に診断することが容易なものばかりではなく,診断法の進歩や風疹のように予防接種の普及によって考え方が変化してきており,この際もう一度これらを見直す事は意味があると考えられる.
①本来は妊娠初期にルーチンの妊婦のスクリーニングが行われるべきものであるが,②妊婦に疑わしき症状のあった時疾患の鑑別診断と治療,③妊娠末期での対策,④さらに新生児で症状のある場合の鑑別診断と水平感染の危険性,⑤母体感染では産褥期の母乳の授乳を行ってよいかなどあるが,ここでは,①および②について,ヘルペスウイルス感染では主に③について述べ,④および⑤については他にゆずる.
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