Japanese
English
特集 インフルエンザウイルス感染症の最新の話題
抗インフルエンザ薬の現状と将来
Current and Future Antiviral Agents of Influenza
三木 誠
1
,
渡辺 彰
2
Makoto Miki
1
,
Akira Watanabe
2
1仙台赤十字病院第一呼吸器科
2東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門
1Respiratory Medicine, Japanese Red Cross Sendai Hospital
2Research Division for Development of Anti-Infectious Agents, Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University
pp.1001-1007
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101802
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
インフルエンザは,重症化,合併症,死亡者数が多いことから,太古から普通感冒と区別して意識されてきた.特に1918年のスペインかぜ,1957年のアジアかぜ,1968年の香港かぜ,1977年のソ連かぜでは世界中で多くの死亡者を認めた.しかし,パンデミックインフルエンザウイルスA H1N1 2009による新型インフルエンザでは,諸外国に比しわが国の致死率が格段に低く,その理由として患者の早期受診と抗インフルエンザ薬の早期投与が功を奏したのだろうと推測されている1~3).インフルエンザを含むウイルス感染症の多くは,宿主免疫により特異抗体が産生されれば通常は治癒に至る.しかし,インフルエンザでは重症化する症例が少なくなく,残念ながら初診時に予後を見極める方法が確立していないため,重症化や死亡を阻止するには抗インフルエンザ薬の適応決定と早期投与が重要なポイントとなる.
現在,国内では,内服薬としてアマンタジン(シンメトレル®),オセルタミビル(タミフル®)が,吸入薬としては従来から用いられているザナミビル(リレンザ®)に加えてラニナミビル(イナビル®)が,また注射剤としてペラミビル(ラピアクタ®)が登場し,治療の幅が広がった.さらには,ファビピラビル(T-705)も臨床試験が終了し近い将来承認される見込みであり,日本はインフルエンザ治療に関して医療先進国に位置付けられる.
本稿では,現在使用可能な抗インフルエンザ薬を中心に使い分けに関して解説し,開発中の薬剤を含めた今後の展望について触れる.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.